フィンランドの子育て支援ネウボラ

フィンランドの子育て支援ネウボラ

2013年9月30日

ヘルシンキの出産・育児指導組織

ヘルシンキの保育園にて
ヘルシンキの保育園にて
木造の保育園が多い
木造の保育園が多い

 ヘルシンキ市ネウボラの責任者であるハンネレ・ヌレッカレ女史の講義から

 フィンランドのネウボラは、妊娠指導から出産、育児支援などを含めた家族支援活動である。この活動は1920年に小児科医師のアルヴォ・ユルッポDr Arvo Yloppoの提案で始められた。当時は、まだ自宅出産がほとんどの時代で、そのためには家族に健康福祉制度や衛生の知識を与える必要があった。

 現在は、ヘルシンキ市社会福祉局の健康福祉政策の一つとして、市内の子供のいる家庭支援、看護師などの専門職と連携して保健管理することを目的としている。ネウボラは、妊娠時から6歳児までカバーしている。入学した児童は、学校の保健師がカバーする。

 ネウボラの2010年から2012年にかけての課題は下記になる。

  1. 子供のいる家庭での飲酒の削減(アルコール消費量の調査を行った結果、8人をアルコール依存専門医に送った)
  2. 両親の心のバランスを健常に保ち、家庭内暴力や児童虐待などを予防する
  3. ネウボラの書類を電子化する
  4. ネウボラ法を遵守し、ネウボラに入っていない家庭の福祉も考える

ヘルシンキの人口は2011年現在587,385人。年間の出産の数は6,300から6,500、うち約3,000が初産になっている。ネウボアは胎児の成長と母体の健康状態を観察し、妊娠中に異常な兆候があったらすぐに対応し、新生児が順調に人生を開始できるように支える。また、若い両親たちを支え、新しい夫婦関係に援助する。避妊と性生活に関する指導、初めて子供を持つ夫婦へのパパママ学級を含むファミリー・トレーニングや保健指導の実施も義務づけられている。ファミリー・トレーニングは第一子の両親に対しては、専門家たちが6~8回行い、1~3回はネウボラで、4回目は病院で、5回~8回は社会福祉局で行う。ネウボラでの1回目は妊娠期の変化や親になることの心構え、赤子がいることの説明、授乳の方法など、2回目は妊娠34週目までに夫婦関係や性生活、赤子とのコミュニケーションの取り方など、3回目は人工分娩などの出産についての具体的な知識、4回目は出産する病院を訪問し助産婦から出産に必要な器具や場所の見学や説明がある。5回目から8回目は産後で、ソーシャルワーカーから新生児が加わった家庭生活、赤子の鳴き声から欲求を知る、産後うつへの対応、夫婦関係などの指導がある。

 妊娠期間中の健康診断は第一子の場合は12回、第二子の場合は8回行われ、そのうちの1回は詳細な健診になる。また内2回は医師が各20分で行う。

 出産入院は、第一子の場合は2~3泊、第二子は1泊のみ。出産後はすぐに保健師が自宅を訪問し、その後も医師と保健師が自宅を訪問する。0歳児の定期健康診断は生後4週間、6週間、その後は毎月検診で合計9回行われ、内3回は医師が各20~30分で行う。4か月目がとくに詳しい健診になっている。1歳児以降6歳児までは最低6回の健診があり、医師は18か月と4歳児を担当する。ヘルシンキ市では2歳児に歯科の健診がある。また、ネウボアが同時期に生まれた赤子の母を集めて互いに紹介し、母親会を開催し、互いに子育ての悩みなどを話合う機会を作っている。第一子の母への保健師相談は12回、第二子の母は7回実施と手厚くなっている。相談の中身は、乳幼児相談が62.5%で、そのうちの30%以上が父親と同行している。その他の相談では、出産後は自分の時間がなくなった、経済的に不安がある、夫婦関係が薄まったなどが多かった。

 ネウボラの適齢児童は約39,000人となっている。年間予算は2,000万ユーロ(約22億円)で、すべて税金を当てている。対象となる児童がいる家族には無料で健康診断と予防接種、健康相談を実施しているが、利用するか否かは家族が選択できる。現在は97%の家族が利用している。外国人であっても、住民登録していればサービスを受けられる。

 市内のネウボラは25支部あり、医師と保健師が関与している。保健師の数は180人。保健師になるには4年半の専門コースを終了する必要がある。

定期健診の目的の一つに、特別な支援が必要な子供のすばやい発見にある。支援が必要と判断された場合には、すぐに医師の診察を受け、子供の家族とともに支援計画を作成し、看護師、理学療法士、作業療法士、言語療法士などの専門職種の連携のもとで支援もすばやく実施する。必要に応じて健診の回数を増やし、家族の状態を知るための家庭訪問も実施する。

 父親の子育て参加の促進のため、家族向けの講習会に父親の参加を促す、医師の健康診断には父親も参加させる、産科に父親用の部屋を用意するといった政策をとっている。育児に参加している父親も増えてきて、家事の分担も増えた。2010年の父親の育児休暇取得率は47%まで増えた。2011年には42%の父親が育児休暇と両親休暇を利用している。

 政府は、2011年に、定期健康診断の実施やネウボア活動などを含めた新しい健康保健法を施行し、全国の自治体が均一に同じ質と量の定期健康診断や相談活動を行うようにした。

ページトップに戻る