ヘルシンキのヴィーキ住宅

ヘルシンキのヴィーキ住宅

2013年9月30日

ヴィーキのエコ団地

サイエンスパークの中の緑
サイエンスパークの中の緑
エコ住宅群
エコ住宅群
戸建ての庭には皆コンポストがある
戸建ての庭には皆コンポストがある
人気の一戸建て
人気の一戸建て
すべて木製の教会
すべて木製の教会
パイプオルガンまで木製
パイプオルガンまで木製

 ヴィーッキViikkiはヘルシンキ市の中心から北東へ約8kmの一帯に広がる地域です。中央駅から地下鉄で北東へ向かいHerttoniemi駅からバスで行きます。

 1132haの面積があり、うちの840haは森、公園、リクリエーション地区になっていて、一部は自然保護地域に指定されています。

 この地域は1832年から貴族の領土でしたが、1931年にヘルシンキ大学の管理になり、1967年に農学部のメインビルディングと学生村ができました。1991年にはヴィーッキ実験農場と生物化学に特化したサイエンスパークのビルが完成しました。続いて2000年にはビオセンターの3つのビルが建てられました。

 住宅地域は1987年から開発が開始され、持続可能な建築の実験都市として2004年にラトカルタノ地区の南部にエコ住宅が完成しました。いまの計画は2015年までに6,000人の学生を含む15,000人が住み、大学や商店、地域の管理などで7000-8000人分の仕事を供給する予定です。

 ヴィーッキの入り口付近にあるサイエンスパークには、生物学研究施設と教室、会議室があります。生物学研究施設の向かいにあるインフォセンターはガラス張りの円形の建物で、図書館、会議室、管理部門があります。円形の建物はエネルギー的に有利で、外壁はガラスですが、内壁と二重になっていて、間に緑の庭が置かれています。建物内の空気を循環させて、夏は涼しく、冬は暖かくし、エネルギー消費を減らしています。

住宅地はサイエンスパークの北東部を占め、持続可能な開発とエコロジカルな建設が進められています。1995年に行われたエコロジカル住宅地区の公開コンペで第一位になったのはペトリ・ラークソーネンPetri Laaksonenのデザインでした。続いてエコロジカル区域と保育園、実験的木造住宅地区のコンペも行われました。中では、1999年建造の集合住宅ヴィーッキン・マーカリViikin Maakaaari(Pekka Helin and Anne Jylha)が興味ある建造物です。この地域の建設は2010年まで続き、完成時には13,000人分の住宅と6,000人分の労働を提供します。北欧の住宅開発では、常に一定人数分の住宅と仕事の両方の供給を計算しています。その地に住み、働くことを計算して、開発が行われます。住宅を空き家にせず、住人を失業者にしないための方策が考えられています。ここの場合は、大学職員、研究者、学生、団地管理者や運営者が住み、大学や団地、保育園や学校が仕事の場を提供します。日本の都会の住宅団地の場合は、都心で働く人たちの住宅を郊外に建てる形になっていました。都心まで通うのがつらいと感じる歳になると、団地は空き家だらけになりました。

 ラトカルタノ地区がいまのところ最大の住宅地区で、8階建て、4階建て、3階建て、2階建て、平屋と、各種の住宅を好みに合わせて選択できます。木造住宅は4層になっています。エコ・ヴィーッキは実験的に様々なエコ住宅を建設して、その経験から3期以降5期まで建設する計画です。すでに3期まで完成しました。ここのエコ住宅の長所短所を他のヘルシンキのエコ住宅建設に活用する予定です。エコ住宅開発は、コンペを実施して最適と思われるものを選択しています。居住形式はレンタル25%、権利所有21%、所有54%です。南に広がるのが低層住宅で、その南に海からの風除けの緑地があり、小川に沿って野うさぎや野鹿、野鳥が多くすんでいます。また、緑を住宅街に入り込ませるようにしています。

 建造されるエコ住宅の基準には5つの視点があります。公害を発生させずに製造された資材を使用、自然資源の利用、健康を増進させる配慮、生物多様性食糧生産。それでいてふつうの住宅よりは5%以内増のコストに抑えようとしています。

 この地区のテーマはエネルギーと水の節約です。太陽エネルギーの利用は大切で、エコ住宅の一部は、利用温水の30%がソーラー発電で作られています。年間を通じて太陽光線が不足しているので、全ての住居にガラス張りのベランダが必要です。緑の地区はガーデニング、コンポスト作り、雨水集めに利用されています。雨水はゆっくりと流し、浄水する植物の間を通して、自然保護区の間を通し、海へと流れていきます。 住民の入居後、エネルギー消費などは市が定期的にチェックし、成果をまとめ、業者に伝え、住民に伝えています。業者や住民からの報告義務はありません。

 住民は子供がいる家庭が多く、両親は30-40歳代で、エコよりも、自然に近い環境、子供にいい環境、住みやすい家として、ここを選択しています。エコ生活だけを求めてここに住む人は多くありません。しかし、ふつうに生活していてエコ生活ができるので、エコが嫌われているわけでもないのです。エコ・ヴィーッキに住むという意識が、ゴミを減らしています。

 ヴィーッキの中心部分にあるヴィーッキ教会は、ぜひ一度見て下さい。テンペリアウキオ教会がこの国の岩盤を見せる建築とすれば、ヴィーッキ教会は圧倒的な木の魅力を伝える建築です。フィンランドの木造教会の伝統に加えて、ノルウェーのスターヴ教会の技法、木造船の建築技術なども感じさせます。そして森の国の教会らしいデザインの凄さ、室内を埋め尽くす木の香りは実に感動的です。フィンランドの設計会社JKMM Architeckts の設計で2006年に完成しました。

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