ドゥンデル、コレクティブハウス

ドゥンデル、コレクティブハウス

2013年9月30日

スウェーデンの建築 ストックホルムのコレクティブハウス

ドゥンデル・バッケンの全景
ドゥンデル・バッケンの全景
木工が趣味の人のための工房
木工が趣味の人のための工房
モダンなセンスが際立つコモンルーム
モダンなセンスが際立つコモンルーム
住民の本を集めた図書コーナー
住民の本を集めた図書コーナー
大きな窓から光がたっぷり入る居間
大きな窓から光がたっぷり入る居間

 ストックホルムの西部の地下鉄の駅前にあるシニア・コレクティブハウスKollektive、ドゥンデル・バッケンDunder Backenを視察し、入居者のアンリー・ペダーセン女史Ms Annlee Pedersen から説明を受けました。
コレクティブハウスとは、家族の住宅と共同スペースがあり、住民のみんなが役割を分担して暮らしている建物をいいます。

 ここは、原則としては40歳以上の人たちだけが入居できるというきまりになっていますが、これは最近作られたコレクティブハウスに共通しています。現在は61戸のうち夫婦は5組のみで、あとはすべて独居の方です。シングルの女性は38人、男性は18人。入居者の半分は現役の労働者です。ただ、1家族だけに2歳半の子供がいて、それが唯一の例外になっています。40歳以上と決めたのは、子育てが終わり、新しい人間関係を作りたい人たちが集う住居にしたいという願いがこもっています。

 かつて住宅会社はコレクティブハウスの建設に消極的でしたが、ストックホルム市は所有する3つの住宅会社に対してコレクティブハウスに優先的に建物を貸さねばならない、という法律を作りました。このため、いまではスウェーデンのコレクティブハウスの半分がストックホルムに存在しています。

 ここのスタートは、コレクティブハウスに住みたいと希望する人たちが集まり、団体を組織し、理事会を作ることから始まりました。2008年に理事会はストックホルムの家族住宅会社ファミリボースタッドと交渉を開始しました。この会社は、市内に24,000の建物と23,000の賃貸住宅を持ち、40,000件に貸し出しています。建設予定の建物の中から、規模や地域、交通、費用などの条件があう建物を選択し、理事会で検討し、住宅会社と条件などをまとめました。交通の利便性などでこの建物が決まり、住宅会社が市民に公示し、興味がある人たちを募りました。住宅会社が部屋割などの設計図を作り、理事会が入居希望者を割り振りし、ようやく着工しました。入居を開始したのは2010年9月からです。形としては住民団体が住宅会社から建物を借り、住民団体が各家族に住宅を貸すというものです。建物の賃貸料は住民団体が集めるので、住宅会社としてはリスクが少なく、貸しやすい方式のはずです。

 建物に入ると、玄関があり、階段とエレベーターがあります。階段を数段上がった中2階が共同スペースです。コート掛け、トイレ、図書室も兼ねた広い応接スペースとくつろぎの居間、住民の知人などが3人まで泊まることができる宿泊住宅、木工などのホビー室、サウナとスポーツジム、コンピューター・ルーム、そして80m2ほどの大きな食堂、その隣りに40m2ほどのキッチンがあり、ストックホルム市民の暮らしの豊かさを感じさせてくれます。食堂の壁には、アメリカ風の大きなモダン絵画が数枚も飾られ、インテリアのセンスのよさがよくわかります。
住宅部分は独身者用の1室の35m2から、3室の72m2まであります。見学させていただいた部屋は独身者用で、居間兼寝室とトイレ・シャワー、キッチンがあり、きれいなインテリアでした。3室の夫婦用の住宅には、バルコニーが2つもあり、一つは有効には使えていないと言っていました。どちらのキッチンも、自分たちでも調理するのに十分な広さがあります。週末と朝食、昼食は各自のキッチンで作ります。

 コレクティブハウスでは、週に数回はみんなで夕食を作り、一緒に食べる形をとっています。ここでは、月曜から金曜まで毎日順番で夕食を作ります。調理当番は10人制で、6週間に1回まわってくるようになっています。1回は5日間です。食費は月曜~木曜は1回30Skr以下に決められており、金曜はデザートがつくので越えてもいいことになっています。飲物は自分で持ってきます。食べるのは義務ではなく、あらかじめクーポンを買っておき、その日の都合で食べなくてもいいことになっています。食事時間は17時45分から19時の間となっています。平均1回30人ほどが食べるそうです。

 これまでにできたコレクティブハウスの最近の問題は、入居者の高齢化の進行だそうです。説明してくれたペダーセン女史自身も80歳を越え、足の具合が悪く、調理当番はお断りしているとのこと。しかし、調理以外にも見学者の応対、広報などやれることはやっていますと断言していました。入居者の高齢化でコレクティブをやめたところもあるので、今後の入居者は、外国育ちの若い男性を優先し、外国の食事を取り入れて食生活を豊かにしながら、住民の老化を防ごうとしています。2番目は外国育ちの若い女性、3番目に夫婦、ということで合意しているとのことです。

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