ストックホルム市立図書館

ストックホルム市立図書館

2014年11月17日

  • スウェーデンの建築その2

ストックホルム図書館の全体像
ストックホルム図書館の全体像
ストックホルム図書館の書架
ストックホルム図書館の書架
ストックホルム図書館書架を上から見る
ストックホルム図書館書架を上から見る
ストックホルム図書館の円筒部分
ストックホルム図書館の円筒部分
マルメ図書館読書コーナー
マルメ図書館読書コーナー
ストックホルム図書館の円形の本棚
ストックホルム図書館の円形の本棚

 スウェーデンのみならず北欧が誇る近代建築の父的存在であるエーリック・グンナール・アスプルンド(1885-1940)の代表的な建築の一つ。というよりも、建物を見て、そこに入って、これはすごいという感動を受ける、というのが何よりの評価だと思います。筆者は感動し、この図書館に高い評価を与えました。みんなに見ていただき、建築とはどういうものか考えていただきたいと願っています。
 アスプルンドは1918年から設計に取り掛かり、若手のスタッフたちとアメリカの建築を視察し、1924年から建設を開始し、1928年に完成しました。スウェーデンで最初の開棚式の図書館で、この方式はアメリカ視察からのヒントです。しかし、この美しさは円筒形の棚と本が作り出しているので、それを引き出すアイディアがすごいと思わせます。まさにカタルシスがある建築です。
 スウェーデンでは図書館は市民にとって重要な建物です。北欧では本を自分で買う習慣はありません。家の中に蔵書がぎっしりなんて人はいません。あっても雑誌が数冊程度です。本は1回読めば、たいていは役割が終わりで、そのあとは家を狭くするだけです。個人で買わずに、図書館で借りれば、1人が読み終わっても、別の人に読まれて、次々と役割を果たしていきます。図書館の本類の貸し出しは無料ですから、貧しい人でも平等に読む機会が得られます。貧富の差がなく学ぶ機会が得られます。図書館にはいつも人がおり、その場で読んだり、借りる本を選んだりしています。
 北欧の本の値段はとても高くなっています。スウェーデンの人口は970万ですので、1億人を対象とする日本語の本よりはずっと高い値段になるのは仕方ありません。出版社も個人を対象にして印刷するよりも、公共図書館と学校図書室を対象にして印刷すれば、安定した部数から適正な利益を確保できます。
 たとえばこの図書館には200万冊の図書、240万の音響CDなどがあります。その他に17,000冊のペルシャ語図書、15,800冊のアラビア語図書など、100の言語の図書があり、祖国を離れた移民たちには手に入りにくいものがここにはあります。筆者の子どもたちは、よくこの図書館に連れてこられ、「3時までに戻ってくるから、絵本を読んでいて」と放置されました。子どもたちにとっても楽しみになっていたのです。
 ストックホルム市立図書館は、ここだけの活動ではありません。市内にある40の図書館の基幹図書館であり、地域図書館にない本はここから配達されます。さらに地方の図書館にない本であれば、ここから貸出すこともできます。全国民に平等に読む機会、学ぶ機会が与えられます。インターネットの普及は図書館を24時間活動できるものに変えました。
 というわけで北欧の図書館の建築はいいものばかりです。それは建築家の名前という意味ではありません。中に入って、居心地がよく、光の採り方や椅子の配置、インテリアの質がいいという意味です。建築家にとって全力を尽くして勝負するに値する場なのです。最近の建築では、コペンハーゲンの王立図書館のシュミット、ハマー&ラーセン設計のインテリアがとてもきれいにできています。スウェーデンのマルメのヘニング・ラーセン設計の市立図書館のインテリアの採光と椅子の配置も見事です。09年にはオスロの市立図書館の招待コンペがあり、ノルウェーの設計事務所が1位になりましたので、どんな建築になるか、完成予定の2018年が楽しみです。ちなみに上記のシュミット、ハマー&ラーセン事務所は2位でした。
 また、ストックホルム市立図書館は西側に別館が建てられることになり、07年の公開コンペでドイツの無名の建築家が1位になりました。費用がかかりすぎるとのことで着工が危ぶまれ、さらに08年後半からの経済危機があり、工事は始まっていません。完成予定は2013年でしたが、中止になったと建築雑誌に載っていました。

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